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モヤモヤを言葉にすると楽になるのはなぜか

「なんかモヤモヤする」「うまく言えないけどイライラする」——そんな、はっきりした形を持たない感情を抱えたまま一日を終えることは少なくありません。厄介なのは、こうした名前のつかない感情ほど、頭の中に長く居座りやすいということです。

心理学では、感情に言葉を当てはめる行為を「感情のラベリング(affect labeling)」と呼びます。研究の分野では、漠然とした不快な感情に「イライラ」「不安」「悔しさ」といった具体的な名前をつけるだけで、その感情の強さが和らぐ可能性があると指摘されています。感情そのものが消えるわけではありませんが、輪郭がはっきりすることで、扱いやすくなるという発想です。

日記を書くという行為は、まさにこのラベリングの練習にもなります。最初は「なんかモヤモヤする」としか書けなくても、「今日は何があったか」「その時どう感じたか」を順番に書いていくうちに、「本当は期待していたのに、それが裏切られたことが悔しかったんだ」というように、より具体的な言葉にたどり着くことがあります。

このプロセスを一人で行うのが難しいときに助けになるのが、外部からの視点です。書いた文章を読み返す、あるいは誰かに——それが人であってもAIであっても——「これはどういう感情だと思う?」と問いかけることで、自分では見えていなかった感情の正体に気づけることがあります。

感情に名前をつける手助けをする側として、Honne.logが特に気をつけているのが「こちらが勝手に決めつけない」ことです。名前をつけるのはあくまで本人であって、AIは候補を差し出すだけの存在であるべきだと考えています。

実はこの点で失敗もしています。以前の分析は「あなたは〇〇なタイプです」と一つの人物像に言い切ってしまう傾向があり、環境によって違う面が出ているだけの記録まで、単一の性格に押し込めていました。検証して気づき、修正しています(詳しくは開発記録に書きました)。押しつけられたラベルは、たとえ言い当てていても本人の言葉にはなりません。

大切なのは、感情に良い悪いのジャッジをつけずに、まず「そういう感情があった」という事実として書き残すことです。ネガティブな感情ほど無理に前向きに変換せず、そのまま言葉にしておく方が、後から振り返ったときに自分を正しく理解する手がかりになります。